二度目のインド・ガルワール花の谷トレッキング (2003/07/26〜2003/08/06)
The second trekking to The valley of flowers and Hemukund
前回2000年には途中度重なる崖崩れのためやっと登山開始地点のゴビンダガートまでたどり着いたが、残念ながらその先へは行くことができなかった。幸い今回は崖崩れもなく予定通りゴビンダガートに到着することができ目的地の花の谷とヘムクンドへ行くことができた。花の谷は全長10kmの谷一面が花に覆われ花の種類も多くまさに天上の花園。シーク教の聖地ヘムクンドに向かう道の両側にはブルーポピーをはじめ多くの高山植物が咲き、途中の登山道では行き交うシーク教徒が親しげに声をかけてくる。
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再びやってきたゴビンダガート。ここが花の谷とシーク教の聖地ヘムクンドへの入り口だ。今回はがけ崩れもなく無事ここまで到着することができた。ここから馬に乗って花の谷の入り口に近いガンガリアのキャンプ地へ向かう。


ここから花の谷への登山が始まる
The trekking to the valley of flowers from here starts.


シーク教徒の列が続く登山道
The mountain trail where the sequence of Sikhs continues

急傾斜の斜面につづら折れに続く巡礼の道をたどり、約5時間かけてガンガリアまで行く。といっても今回は馬で行くのでラクチンラクチン。
道は白い服を着たシーク教徒の人たちの長い列が聖地ヘムクンドまで続く。歩いて行く人、われわれと同じ馬で行く人、また担がれていく人、それぞれの体力に合わせ皆聖地ヘムクンドを目指す。
初めて馬で山を登る。さてどの馬にするか。重量級の体を任せても大丈夫な強そうな馬にしたいが、なぜか馬を見ると相手が迷惑そうな表情に見える。馬といってもラバで馬よりづっと小柄だ。はたしてこの重い体重に耐えられるのだろうか。不安と馬への申し訳なさを感じながらいざ出発。

 

ガンガリアまでロバで行く
Ride on a donkey and goes to Ghangaria

 

遠ざかるゴビンダガート
Govindghat keeping away.

ゴビンダガートを後に急な坂を馬の背中に揺られながら次第に高度を上げていく。出発地のガンガリアもずいぶん遠くになった。それにしても尻が痛い。もうこれは拷問に近い。

尻の痛さももう限界。馬から下りて歩くことにした。しかし急に歩き出した体は思うように進まない。のんびり花の写真を撮りながら歩いていると後から来たシーク教徒5人衆が声をかけてきた。しばらくわけのわからない巻き舌英語になやまされながらも5人衆と一緒に楽しく山歩きを開始。

 

途中で一緒になったシーク教の人たち
People of the Sikhism which became together on the way.

 

快適なガンガリアのテント場
The tent place in comfortable at Ghangria

歩き出したものの歩くのも苦痛。とうとう5人衆と別れて後から来る馬を待つことにした。やはり馬のほうが楽だ。最初は馬から落ちないようにと体中に力が入っていたが次第に馬にもなれ手綱を持って景色を見るゆとりも出てきた。馬に乗って歩き出すと程なく前方が開け広い草原が現れた。やっとガンガリアのテント場に到着だ。
ゴビンダガートからガンガリアで見られた花
Impatiens scabrida?
(ツリフネソウ科)
インパチエンスの仲間
Impatiens glandulifera
(ツリフネソウ科)
Prunella vulgaris?
(シソ科)
?
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Stachys melissaefolia Benth.(シソ科)
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Euphorbia cognata?
(トウダイグサ科)
Aquilegia pubiflora
(キンポウゲ科)
Scrophularia decomposita
(ゴマノハグサ科)
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Aster albescens
(キク科)

いよいよ今日は花の谷を歩く。早朝テントを出発し、ヘムクンドへ行く巡礼者の宿泊施設があるガンガリアを抜け、少し上り坂をあがると花の谷の入り口に公園事務所がある。ここで入園の手続きを済ませ花の谷へと入っていく。

 

ガンガリア
Ghangria

 



ブルーポピー
Blue Poppy

しばらく樹林帯の中を歩くとガイドがブルーポピーが咲いているところを教えてくれた。まだ標高が3000mちょっとというのに岩陰にブルーポピーの花が咲いている。その脇には白いサクラソウの花も咲いており次々に高山植物の花があらわれる。でもここはまだ花の谷に行く途中の道だ。

一時間ほどで樹林帯を抜けると突然広い谷が現れる。いよいよ花の谷へ入ってきた。谷は緑に覆われ道の両側には高山植物の花が一面に広がる。道の両側の花を一つ一つ見ていくと珍しい高山植物をみることができる。

 

いよいよ花の谷に到着
Arrives at The valley of flowers soon.

 

全長6kmに及ぶ花の谷
The valley of flowers which attains to the full length of 10km

広い谷は一面緑に覆われ、両側は美しいスロープの岩山が続く。全長6Kmの谷の前方には氷河をいただいた高峰が谷をふさぐようにそびえる。
ヒマラヤといえば険しい岩肌を持つ荒々しい山と氷の世界を思い浮かべるが、これほど美しい緑に覆われたところは初めてだ。

谷を進むとあたり一面花で埋め尽くされている。紫のフウロウの群落、白一色のアネモネの群落。その群落に赤いポテンティラやピンクのインパチエンスが混ざりあいまさに百花繚乱。

 

谷を被う広大な花畑
The vast flower garden which covers the valley

 

場所によりさまざまな花が見られる
Various flowers are looked at by the place.

谷には小さな川もいく筋も流れ、そこには草原とは違って、ランやサクラソウ、キンポウゲ、ウスユキソウなどの比較的背丈の低い高山植物が多く見られる。
延々と続く花の海の中を進むにつれその植生も少しずつ変化していく。入り口付近ではインパチエンスやオオカサモチなどが多く、次第にフウロウやキキョウの紫が目立つ。さらに先に進むとアネモネの白い花が大群落となって現れる。その中に赤いポテンティラや紫のフウロウ、赤いタデ科の花、ピンクのマツムシソウの仲間などが混ざり合い、美しさを競い合うように咲いている。

 

色とりどりの花が斜面を飾る
Various flower decorates a slope.

花の谷で見られた花
ヒマワリの原種
Thymus linearis
(シソ科)
Primula reidii
(サクラソウ科)
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Codonopsis rotundifolia
(キキョウ科)
Anaphalis nepalensis
(キク科)
Bupleurum longicaule
(セリ科)
Silene vulgaris
(ナデシコ科)
?
Impatiens glandulifera
(ツリフネソウ科)
Anemone rivularis
(キンポウゲ科)
Heracleum candicans
(セリ科)
Campanula latifolia
(キキョウ科)
Phlomis setigera Falc. ex Benth.(シソ科)
(ラン科)
Gymnadenia orchldis Lindl.
(ラン科)
(ラン科)
Pedicularis punctata decne(ゴマノハグサ科)
(ゴマノハグサ科)
Geranium pratense
(フウロソウ科)
ワスレナグサの一種
(ムラサキ科)
Androsace sarmentosa
(サクラソウ科)
Bistorta macrophylla
(タデ科)
Polemonium caeruleum
(ハナシノブ科)
Thalictrum cultratum
(キンポウゲ科)
Morina longlfolia
(マツムシソウ科)
Epilobium Laxum
(アカバナ科)
Epilobium latifolium
(アカバナ科)
Rosa webbiana
(バラ科)
ウスユキソウの一種
Potentilla argyrophylla
(バラ科)
Meconopsis aculeata
(ケシ科()
ポテンチラの一種
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Senecio chrysanthmoides
(キク科)
?
?
ポテンチラの一種
?

 

石畳の道を馬は必死にヘムクンドまで上る
A horse goes up the way to Hemkund Sahib.

次の日は標高4300mにあるシーク教の聖地であるヘムクンド湖まで行く。ヘムクンドは花の谷より標高が高いのでまた違った花が見られる。今日もまた馬に乗り石畳の道をヘムクンド目指して進む。
ヘムクンドまでの道はシーク教徒の長い列が続く。元気な人は歩いて、体力に自身のない人は馬に乗って、馬に乗ることができない人は4人がかりで担ぐ台や竹篭にオブってもらってヘムクンドを目指す。

 

巡礼者の列が聖地ヘムクンドまで続く
A pilgrim's sequence continues to Hemkund Sahib.

 

ヘムクンド湖で沐浴をするシーク教徒
Sikhs which purify themselves in Hemkund lake

途中休憩のための茶屋があり2軒目の茶屋を過ぎるあたりからブルーポピーの花が現れる。残念ながら馬に乗っているので写真を撮ることができない。
4時間弱でヘムクンド湖に到着する。湖の周りにはすでに多くのシーク教徒が集まり、湖で沐浴する人もいる。湖の水は雪解け水のためしびれるような冷たさだ。こんな冷たい水に入れば身も心も引き締まり一切の雑念を取り払い氷のような透明な気持ちになれるのだろう。

ヘムクンド湖は標高4300mくらい有り、ここまでくる道の両側にはいろいろな高山植物が咲いている。道の脇だけでも多くの高山植物が見られるが道から斜面に入ればもっと多くのの高山植物が見られる。しかし岩場で歩きにくく時間がかかるので道の両側だけでも十分多くの高山植物を見ることができる。

 

ヘムクンドへ行く道の両側に咲く高山植物
The alpine flowers which blooms on both sides of the way to Hemkund

 

斜面にはブルーポピーの花が
The flowers of blue poppy in a slope

標高の高いところはサウスレアやピンクのビストルタ、可憐なサクラソウやユリの仲間、ブルーのコリダリスなど小型の高山植物が斜面のあちこちで見られる。標高が下がるにつれ黄色のキンポウゲやブルーのワスレナグサが次第に目立つようになり、やがて斜面のあちこちに透明感のある空色をしたブルーポピーが現れる。
ヘムクンドのブルーポピーは主にメコノプシス・アクレアータで、有名なメコノプシス・ホリデュラに比べ色が薄く透明感がある。特に朝露やきりで花びらに水滴が付くとまるでガラス細工のように透明感のある美しい色になる。

 

まるでガラス細工のようなブルーポピーの花
The flower of a blue poppy like glasswork

 

途中の茶屋で休憩しながら長い下り道を行く
go a long going-down way.

次第に標高が下がるにつれブルーポピーも姿を消し、斜面は一面紫のワスレナグサに覆われる。さらに標高が下がると原種バラの一種ロサ・ウエッビアナが現れる。しかしもうめぼしい花はほとんど見られなくなり、後はひたすら長いくだり道を下るだけだ。

石畳の道は歩きにくく疲れやすい。のんびり歩いていると馬や担ぎ屋が次々に追い越していく。それにしても彼らの足は速い。こんな高地で毎日過酷な生活を続けていたのではあまり長くは続かないだろうう。
長かった下りもやっと終わりだ。前方にガンガリアが見えてきた。
相変わらず巡礼者でごった返しているガンガリアを抜けるとやっとテント場に到着。

 

前方にガンガリアが見えてきた
Ghangria has been ahead visible.

 

ヘムクンドで見られた花
Corydalis govaniana
(ケシ科)
Corydalis cashmeriana
(ケシ科)
Saussurea obvallata
(キク科)
Rheum webbianum?
(タデ科)
Rhodiola heterodonta
(ベンケイソウ科)
Primura macrophylla
(サクラソウ科)
?
Anaphalis nepalensis
(キク科)
Lloydia longiscapa
(ユリ科)
ビストルタの一種
(タデ科)
Potentilla microphylla
(バラ科)
Potentilla eriocarpa
(バラ科)
Epilobium Laxum
(アカバナ科)
ワスレナグサの仲間
(ムラサキ科)
Anemone polyanthes
(キンポウゲ科)
まる2日間、花の谷とヘムクンドですばらしい花々を堪能できた。トレッキングもこれで終わり後は出発点のゴビンダガートまで下るだけだ。ガンガリアからゴビンダガートまではあまり花は見られない。谷の岸壁や前方の岩山の景色を見ながらひたすら下るだけだ。

 

ゴビンダガートへ下山
GO down to Govindghat

 

ゴビンダガートに到着、これでトレッキングは終わり
Govindghat is reached. Finally the trekking is now.

一人で下っているとすれ違い時に時々声をかけられる。日本の山では挨拶ぐらいで言葉を掛ける人はすくないが、ここでは日本人が珍しいのかよく話かけられる。
出発してから5時間、歩き疲れてくるとやっとゴビンダガートに到着だ。
山と花のアルバム  
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