チョモランマ東壁をみる

2003/09/08 〜 2003/10/05

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 チベットへ
 チベットの入り口とはいえ、高原をランクルに揺られ荒涼とした不毛の山を眺め、雪の峠を越えカンシュン氷河の奥に聳えるエベレスト東壁を見ようというオリジナル企画に誘われ己の体力を省みず申し込む。
 当初の計画では2003年5月からの予定が例のSARS騒ぎで中止になり半ば諦めていたところ、この年の秋に催行することに。
 しかしながら、雨など降らないこの時期にチベットは、毎日のごとく梅雨のような天気に山歩きをするとは誰知るや・・・

国境の町ザンムー
 最奥の村ユエバを目指しカトマンズを出発
  9月8日に国内の各地から一行6名はバンコク空港に集まりTLのA氏と共にカトマンズへと飛ぶ、涼しい秋の気候に慣れたわが老体には、この蒸し暑さに汗が噴き出し、久しぶりのクーラーの風が心地よい。
 カトマンズから少数精鋭をモットーとして5名のスタッフと共に世帯道具等一式をところ狭しと座席やマイクロバスの屋根まで高々と積み上げ、一路ネ・中国境を越えるべく早朝の町を外れるとすぐ物々しい軍隊の検問所で止められ、それもたびたびの検問を受けながらの走り。
 中国国境でカトマンズからの荷を積み替えザンムーからランクル2台とトラック1台に乗り国道1号天然砂利道「フレンドシップ・ハイウエー」をひたすらに走り車道行き止まりの最奥の村ユエバへ入る。

チベット高原を行く四駆


ユエバ村

ティンリーの朝

ラルン・ラ峠

ロンブクから見るエベレスト北面

チョーオユー(8,201m)

ギャチュンカン(7,952m)

シシャパンマ(8,013m)
 旅の始まり

中腹のお寺まで足慣らしに

カルタの村
 トレッキング開始地点のユエバ標高3700mで、高度馴化を兼ねて4000mの村のお寺までの散歩が、ハアハアと息もたえだえにお寺に倒れこむように入り参拝する、これが地獄で仏か・・・わたしだけがよたよた、他のメンバーは平気の平左の山の猛者では憎いね!まったく

ラプカの川辺にキャンプ
 いよいよカンシュン谷目指してキャラバン出発

ようやく国をでてから9日目にして、ヤクとゾッキョを合わせて13頭も揃い、ヤクパー(牛飼い)4名も加わり、いざキャラバン14日間の山歩きの旅へと、
入山してからは昼頃になると谷底から雨雲がどんどん沸あがり、マカルーを映すという湖も、晴れていれば、遥かにエベレスト・ローツエも見えるであろう高原のメンドシチも、チベットの万の神は意地悪くも雨と霧で覆い隠しているのでした。しかし私のかすかな溜息と愚痴が聞こえたのか、ユエバを出てから4日目の朝!なんと正面にエベレスト・ローツエ・マカルー等が旭日に燃えて彼方に姿を見せているのです。それカメラだシャッタチャンスだ、急げとその間数回シャッタを切ったら雲の中に姿が消えてしまいました。

四方の雲ひくきにうごき「チョモランマ」の山上を射る朝の光は

 


シャオ湖

カンシュン谷

マカルーとチョモロンゾ

パタンの朝
 あの日、牛を放牧している所でキャンプしたときのこと、夕方に雨もようやく上がり寒いのか小水が近くテントを出て空を眺め気持ちよく用を足していると、何処からともなく牛がのそりのそりと近づき股間に顔を向けて寄ってくるのですヨ !アワヤ・・・・驚きましたね。なんと塩分の補給にくるのだそうで、まさに小水は貴重品です、おかげであの日から好きな牛タンを食べようと思わなくなりました。

ただいま食餌中

ヤクの毛で編んだテント
 そしてカンシュン谷へ
 雪男が棲んだといわれる岩場も、行く先情報不足の道々も、難関の大崩落地も無事通過して着きましたぞカンシュン氷河へ

崩壊地点

タンシャムの谷

いよいよカンシュン氷河へ

ダイオウ
 最終地ペタンBCに到着
最終地ペタンBCには予備日も使い3泊4日も雪や雨にもめげづ滞在し、ひたすらに晴天を待つ。しかし明日は来た道を引き返さなければならない、この9月25日の朝テントを出ると昨日までの雪も降り止んでいる、時間がたつにつれあの厚い雲も少しずつ千切れ消えてゆく。
おお!氷河のはてにチョモランマが聳え立つているではないか、でもガスで薄いベールを懸けているが如くいまいちだ。
付近の散歩を兼ね夏の名残のエーデルワイスを写しながらの時間つぶし、チャンスを待ちます。
忘れもしない9月26日の金曜日この朝は日の出前から雲ひとつない上天気です、東の彼方へ正面に遮るものなく、あのチョモランマが隣にローツエと東の壁を余すことなく見せています。少しずつ日が射してきて氷壁の山肌を炎であかあかと燃えているようになりました。短い本当に短い朝のショウはおわりました。
そういえば、チベット人のスタッフが言っていたとか、チベットの諺に「金曜日は願い事がかなう」ということを、
荷物をまとめ、息切れしながらテントの後片付けを手伝い、秋晴の道の山々を振り返り、また振り返りながら来た道をもどりました。
そして天候もこの日からチベットのチベットらしい青空の秋らしい爽やかな日々が続いたのでした。

エーデルワイス

ローツェとエベレスト東壁

ローツェとエベレスト東壁

雲間の無名峰

マカルーU

エベレスト北BCから見るヌプツェ方面
   
 旅を終えて  

  なんとか28日間のトレッキングも無事に終えることができました。これも健脚の中高年の仲間と、きびきびとした若きスタッフに助けられ、日本料理のうまいコックの料理に食欲も落ちることなく歩けたのだと・・・・楽しい山旅でした。


カンシュンの氷河のはたて蒼空に眩きばかりヒマラヤのうねり

あらかわ
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