中国四川省大雪山系のフラワーウオッチング (China Sichuan)

2005/07/17〜21

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四川省康定(カンディン)近くの雪門坎峠(標高3948m)付近 [2005/07/17]

 四川省の西にある康定から新しく開通した道路を通って1時間ほどのところにある標高3948mの雪門坎峠一帯の草原にはダイオウをはじめ多くの高山植物が一面に咲く。
 康定(標高約2530m)を出発し町を出ると次第に道は登り坂になる。町はずれから新しく開通した道路に入ると道の両側には次第に高山植物が現れ、標高を増すにつれ植生が変わり次第にその種類も多くなる。
 峠近くになると一面の潅木地帯となる。この潅木地帯では冬虫夏草がとれる。冬虫夏草は漢方薬として高価に取引されるため厳重に管理され潅木地帯は柵に囲われている。

 潅木地帯を過ぎると森林限界を超え斜面は一面の草原になりすぐに雪門坎峠に到着する。
 峠は標高3948mあり、周りの山の氷河からの流れで湿地帯も多くダイオウやサクラソウなどの群落が見られる。
 車を降りるとすでに足元には多くの高山植物が咲き道路から草原に入ると足の踏み場も無いほど一面高山植物に覆われている。
 草原に入りまず目に付くのはリンドウやシオガマ、キク科の花などでさらに草原の中に入るにつれ次第に湿地帯となりサクラソウやダイオウの群落が現れる。またところどころ紫色や黄色のブルーポピーやユリ科の花など珍しい花もたくさん見られる。

 湿地帯を抜けるとツツジ科の潅木が目立つようになり、ブルーのアネモネの仲間やシオガマに混じって小型のランなども見られる。

 さらに緩やかな斜面を上がって行くと氷河からの流れが現れその両側一面は黄色のサクラソウ(プリムラ・シッキメンシス)とダイオウの群落となる。

あいにく天気があまりよくなかったが周りは氷河をいただく高峰に取り囲まれ時々雲の間から迫力ある姿をのぞかせる。
 高度順応が目的だったので滞在時間が短かったが短時間で数十種類の花が見られ花の種類の多さに驚かされた。
     
四川省康定(カンディン)近くの雪門坎峠(標高3948m)付近で見られた花
 
折多山(チェトーシャン)峠(標高4296m)および無名峰(標高約4400m) [2005/07/18]

 雪門坎峠の反対側にはチベットのラサに通じる道があり標高4296mのチェトーシャン峠まで車で1時間あまりで行くことができる。カンディンを過ぎると深い谷沿いの道となりそれを過ぎると広々とした大草原が広がる。
 道の両側には高山植物がたくさん咲きチェトーシャン峠まで途切れることなく続く。

 



 チェトーシャン峠にはタルチョがありここを通過するチベットの人たちは経文を印刷した紙を天高く舞い上げる。その紙が空に舞い上がることにより経文を読んだことになるという。そのため峠付近の草原は紙だらけだ。

 峠付近はすでに森林限界を超えており周りには広大な草原が広がる。雪門坎峠より標高が200m以上高く、また風が強いせいかクッション植物に似たマンテマの仲間やキク科のコウリンカに似た花、シオガマ、キンポウゲやマメ科の仲間、リンドウ、ビストルタ、チドリなど小型の高山植物が多く見られ、ブルーポピーもところどころで目にする。

  峠から近くの無名峰に続く斜面を登るとトウヒレンやアンドロサケ、ベンケイソウの仲間などが見られるが岩場やガレ場が多く花の種類、量は少なくなる。

 山頂にはキンポウゲの群落やベンケイソウの仲間などが見られるが全体的には花は少ない。しかし岩場のところどころでブルーポピーの美しい花を見ることができた。


折多山(チェトーシャン)峠付近で見られた花
 
チシアゴウ(七家濠)谷第一キャンプ(3500m)まで [2005/07/19]
 今回のトレッキングのメインコースであるチシアゴウ谷はミニアコンカをはじめ未踏峰リウチコンカをなど5000〜6000mクラスの大雪山脈の西側にある谷で標高が3100〜4200mの範囲を歩いた。

 谷の入り口あたりは森林帯で谷の両側の斜面は森に覆われている。道の両脇にはバラの花が多く、草つきのところにはウメバチソウや小型のラン、サクラソウやリンドウ、シソ科、マメ科など多くの花が見られる。

 道は次第に狭くなり緩やかなのぼり道になる。樹林帯と草地が入り混じった状態が続き、セリ科やギボウシの仲間、カラマツソウ、アネモネなどの大型の草花に混じりシオガマ、リンドウ、フウロウ、スミレ、イチヤクソウ、ヒメレンゲの仲間などの小型の花も多く見られる。

 

 


 標高3500mにある最初のキャンプ地は広い草原でヤクの放牧場になっている。

 ここでもシオガマをはじめアネモネ、キンポウゲ、ビストルタ、キク科の花などが一面に咲いている。

 
チシアゴウ(七家濠)谷第一キャンプ(3500m)までで見られた花
 
第二キャンプ(4000m)まで [2005/07/20]

 第一キャンプを出発するとこれまで見られなかったバイモやクサジンチョウゲやクレマチス、アンドロサケ、サクラソウ、ウスユキソウ、アリウムやセリ科の花など高山性の花が次々と現れる。

 

 樹林帯が開けると途中には一面ピンクのシオガマやキンポウゲ、ワスレナグサなどの色鮮やかな花に覆われた美しい花畑も現れる。

 草原はは足の踏み場もないほど一面花に覆われ日本では考えられないが花の上を歩かなければならない。

 途中には流れや湿地帯もあり雨季のこの時期は水量も多く、時には靴をぬらして川を渡ることもある。

 湿地帯を抜け再び草原に出ると一面ピンクのシオガマと黄色のキク、それにブルーのワスレナグサの色鮮やかな群落が現れその美しさとスケールに感動する。

 標高が上がるにつれ植生は大きく変化し、樹林帯を抜けると広い小型の潅木林に変わる。潅木の間にはチドリなどのランが目だって多くなる。

 潅木林地帯を過ぎると急坂となりその坂を上りきると再び草原が現れる。

 広い草原は延々と続きテンと場はなかなか見えてこない。

 やっとテンと場に到着。広い草原は一面花で覆われここも放牧場になっておりすぐ近くにはチベット人のテントもある。

 
第二キャンプ(4000m)までで見られた花
 
ベースキャンプ(4200m)へ [2005/07/21]

 キャンプ地を出発すると広い川原になり道は川の端の岩交じりの草つきになる。キジムシロなどの小潅木に混じりこれまで見てきたチドリの仲間やコドノプシス、シオガマは途切れることなく咲き続ける。黄色の比較的大きな花が現れるがこれはクレマチスの仲間だ。

やがて前方に高さ2〜3mあまりの大型の植物が現れる。これはセイタカダイオウで、すでに外側の外套のような葉は無く中の花がむき出しになっている。むしろこのほうがタデ科の植物らしい姿ともいえる。それにしても巨大な植物だ。

 


 道は斜面を高巻くので川を渡り対岸へ移動した。こちらは比較的乾燥した緩やかなのぼり道になり花は少なくなるがブルーポピーの花がところどころで見られる。
 坂道を登りきると一面キンポウゲに覆われた広い草原が現れダイオウの姿も多く見られる。




 再び川原に下りると川幅はいっそう広くなり何度か流れを超えて対岸に渡るとプリムラ・シッキメンシスの大群落が現れる。

 足元には相変わらずシオガマの仲間やウスユキソウ、マメ科の花、リンドウなど小型の花がたくさん咲いている。

 

 

 あいにく天気が悪く小雨になってきたので目的地のベースキャンプの直前で引き返すすことになった。帰りは行きと反対側の道をとった。広い川原にはピンクのサクラソウの群落が花道のように続きその美しさに感動する。

 道は川原から次第に上がり斜面へと続く。やや乾燥するためか見られる花にも変化があり、黄色のメコノプシス・インテグリフォリアが多く見られるようになる。しかしすでに盛りは過ぎ花はわずかに見られるだけだった。

 道はさらに斜面を上がりかなり高いところを歩くことになる。花は相変わらずたくさん見られるがトラバース気味の急斜面になるためゆっくり花を観賞することもできずキャンプ地に向かってひたすら歩くことになる。
 中国は今回が2回目だが、広大な大地一面が花で覆われているかのようなスケールの大きな花畑に驚き感動する。また花の種類の多さもほかでは見られない。群落も見られるが多くの種類が混生し色とりどりの花が一面に咲くさまは中国のフラワーウオッチングの最大の魅力だ。
 今回もツアーに参加してのフラワーウオッチングだったため、丹念に探したわけではなく歩きながら道で見かけた花がほとんどだが、それでも200種類前後の花を見ることができた。
 
ベースキャンプ(4200m)までで見られた花
山と花のアルバム  
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