アコンカグア山麓トレッキング+イグアスの滝+リオ+ブエノスアイレス
(1992/12/25〜1993/01/06)

 

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リオといえばカーニバル。訪れたのは年末でカーニバルまでにはまだ2ヶ月ほどある。しかし、リオの人は既にカーニバル気分だ。若い女性は話をしながらもサンバのステップを踏んでいる。 夜になると市内の劇場でサンバショーを見ることができる。強烈なサンバのリズムに乗って繰り出す踊り子。そのエネルギッシュな踊りとセクシーな姿に会場は興奮状態だ。

 

サンバを踊る踊り子たち

 

リオの中心街

リオの山の手は貧しい人たちの暮らす町。小さく粗末な家が山の斜面をびっしりと埋め尽くしている。一方市の中心街にはヨーロッパの雰囲気を残す古い石造りの重厚な建物が立ち並ぶ。
イパネマの海岸は若者であふれている。女性の水着姿はとても刺激的。この海岸に沿ってホテルやマンションが立ち並ぶ。聞くところによるとここの土地の値段は東京以上とか。 長い海岸線の終わりには有名なポンデアスーカルという石灰岩でできたまるででとんがり帽子のような山がある。この山の頂上へはロープウエーで行くことができ、頂上からは世界3大美港のひとつであるリオの美しい海岸が一望できる。

 

イパネマの海岸

 

コルコバードの丘から見るポンデアスーカル

熱帯植物の生い茂る山を登山電車で登るとコルコバードの丘に行くことができる。丘の頂上には巨大なキリストの像があり、ポンデアスーカルと並ぶリオの名所である。 ここから見るリオの港は美しい。

滝といえば一般には縦に細長い形を連想するが、ここイグアスの滝は日本人の滝に対するイメージを一変させる。滝は一方はブラジルに、もう一方はアルゼンチンに続き、日本人のスケール感をはるかに超越する長さ4Kmもある長大な滝である。ブラジル側は落差は低いものの圧倒的な水量が作り出す豪快な流れは迫力に富み、近くに行くとすさまじい轟音とともに吐き出される水の流れに恐怖感を感じる。一方アルゼンチン側は落差が100mほど有り、流れはまるでレースのカーテンのように繊細で優雅な滝である。 情熱的でエネルギッシュなサンバの国ブラジルと、優雅なタンゴの国アルゼンチンの姿と一致するのは偶然だろうか。

 

巨大なイグアスの滝(の一部)

 

中世の面影漂うブエノスアイレス

ブエノスアイレスとはきれいな空気という意味らしい。市の中心部の道路はとても広くまるで公園のようでゆったりとしている。中世ヨーロッパの面影をつよく感じさせる重厚な石造りの建物が立ち並び、世界3大オペラ劇場のひとつコロン劇場もここにある。
タンゴ発祥の地ボカはブエノスアイレスのはずれ、港町にある貧しい人たちの町だ。カラフルな色の建物が立ち並ぶこの一角はまるで絵画のようだ。

 

カラフルなボカの家

 

緑豊かなメンドーサの町

ブエノスアイレスから飛行機で南米大陸を横断するとアンデス山麓の乾燥した大地にブドウ畑が広がる。メンドーサはアルゼンチン西部の大都市でワインで栄えた町。乾燥地帯にもかかわらず町の中は緑が一杯だ。これらの緑はすべて人の手によって作り出されたもので、かっては一本一本の木に人の手で水が与えられていたという。
チリ国境のこの村はアコンカグアの登山基地。近くには大量のお湯が噴出す温泉があり、温泉の石灰分が長い年月の間に橋を作ってしまった。この村の名前、プエンテ・デル・インカはインカの橋という意味。

 

温泉の石灰が作り出したプエンテ・デル・インカ

 

広々とした草原を行く

いよいよトレッキング開始。ガイドはスザンナとアンドレーアという美人姉妹。荷物はすべて馬でキャンプ地まで運ぶのでザックひとつでよい。 登山口までは今は廃線になっているレールの上を歩く。途中には珍しい高山植物が沢山咲いており、ガイドのメリッサが本を片手に名前を教えてくれる。どれもアンデス特有の高山植物でいままで見たことの無いめずらしい種類が多い。
登山道へ入ると暫くは広々とした谷あいの緩やかな草原の道が続く。道の両側は一面に高山植物が咲き乱れ、時々リスの様なかわいい動物が顔を出す。 やがて両側がなだらかな斜面の山に挟まれ、真っ正面には黒々としたアコンカグア南壁が現れる。  2時間ほどで一面高山植物に覆われた小さな丘につく。その丘を越えると眼前にオルコネス湖が現れる。小さな池だが澄んだ水面に白く輝くアコンカグアを写し、周りを高山植物に囲まれた大変美しい所だ。

 

アコンカグアを映すオルコネス湖

 

珍しい高山植物の咲く草原

ここからさらに30分ほど歩くとオルコネス川出会いに到着する。川にかかる橋を渡ると今日の目的地コンフルエンシアまであと半分だ。この先にレンジャーのテントがあり、ここで入山の手続をすませ更に先へすすむ。
ここまではのどかな草原地帯だったが、ここから先は起伏の多い岩の狭い道になる。でも危険なところはまったく無い。
途中昼食を食べていると、昼食を狙って鳥がすぐそばまで寄ってきた。パン屑を置くと手が届きそうな所まで近づきパンをとっていく。すぐ横には巣穴があり、ひな鳥にパンくずをあたえていた。殆ど襲われることがないのだろうか。われわれに対する警戒感がない。

やがて足下に二股に流れを分けたオルコネス川が現れる。ここがコンフルエンシアで、コンフルエンシアとは二股という意味だ。ここでアコンカグア頂上への登山道と我々が目指す南壁直下への道とに分かれる。ここから道を右へ取り一旦下るとキャンプ地はもう近い。キャンプ地の近くだけは別天地のように、澄んだ水が流れ、甘い香りのする高山植物が咲いている。
コンフルエンシアのキャンプの夕食は豪華だった。アルゼンチン名物のアサードという牛肉のあぶり焼きだ。豪快な肉から肉汁がしたたり食欲をそそるにおいがあたり一面にただよう。肉はやわらかくとてもうまい。厚切りのステーキはアルゼンチンの肉が最高だ!?

 

甘い香りのする高山植物

 

アコンカグア南壁に続くモレーン

谷は徐々に狭くなりアルマセネスの岩壁が間近に迫ってくる。この谷は氷河が削りだしたモレーンに、斜面からくずれ落ちた岩クズが堆積して出来たものだ。  アルマセネスからその先に続く山の山肌に描かれた美しいしゅう曲模様をながめながら、さらに谷を進むと突然氷河が姿を表す。  氷河といえば白く輝く氷の帯を想像していたが、ここの氷河は表面が泥で覆われておりイメージとは大違いだ。氷河は尖った氷の塊(セラック)が続き、平坦な所は全くない。高さはおよそ数mから10mほどあり、ところどころ氷がとけてできたのであろうか池があり、そこから大量の水が滝となって流れ出している。
聞くところによるとこの辺りの氷河は1万年以上前に降った雪だそうで、この氷河も年々後退しているとのこと ここまで来るとアコンカグアの南壁も目の前だ。巨大な黒々とした壁が谷をふさぐように聳え立ち、山頂一帯は真っ白の雪に覆わている。道はこの先さらに南壁近くまで続くがトレキングはここまで。ここで引き返しキャンプへ戻る。

 

重量感あふれる南米の最高峰アコンカグア南壁と氷河

 

珍しい高山植物の咲く花畑

アコンカグア一帯には高山植物が多く、そのほとんどは日本では目にすることが無い珍しいものばかりだ。名前が全くわからないのでここでは途中で見かけた花の一部を紹介します。
   
   
   
山と花のアルバム