草花の咲き始めた早春の明神岳稜線歩き

2004.04.03
       
明神への登山は連続する熊笹の小山越えから始まる

明神岳は箱根外輪山の一部で金時山の隣に位置し、長い緩やかな稜線が続き見晴らしがよく、春先には山野草や桜の花を楽しみながらのんびりと歩くことができる。また、初冬の暖かい日差しを受けながら新雪の富士山や箱根の山々を見ながら歩くのもよい。
金時山と明神岳の間にある矢倉沢峠の隧道の出口に登山口があり、ここまでは車で来ることができるが、バスの場合は金時山への登山口をあがり、茶屋の10mほど先で合流する。また、稜線の途中にも登山口があり、そのほかにも明星側と大雄山からも登ることができる。

矢倉沢峠から歩き始めると最初に熊笹に覆われた小山を三つ超えなければならない。いきなり急坂の登りになり次第に汗ばんでくると見晴らしもよくなり最初の小山の頂上に到着する。
金時山や箱根の山々を少し展望して次の山に向かう。長いくだり坂を下りきると次の山の登りになる。2番目は最初の山に比べるとすこし楽ですぐ越えることができる。最後の3番目は少し上ればすぐ山頂になる。しかし目指す明神岳の頂上はまだはるか彼方だ。
熊笹の小山を越えると雑木林へ
最後の熊笹の山を越えるとすぐ樹林帯に入る。明神岳の登山道はほとんど草つきの展望のよい道で、林の中を歩くのはここと頂上手前の雑木林の2箇所だけだ。
林の木々の間からは金時山も見える。樹林帯の中を進むと途中にはスミレの花が多く見られるところもあるが、今回は時期が少し早く残念ながらまだ花は咲いてなかった。
雑木林を抜けると気分のよい緩やかな稜線が続く
樹林帯を抜けると前方が一気に開け、これから目指す明神岳の山頂まで緩やかな稜線が続く。
出口の右には古代人が黒曜石ををとっていたという火打石山がある。わずかなのぼりなのでちょっとよってみるのもいい。でも山頂には何も無い。
稜線は南に面した明るい斜面が続き春にはスミレをはじめとする山野草や桜の花が美しい。まだ時期には少し早かったがすでにボケの花やスミレの花などがちらほらと咲き始めていた。
箱根一帯の山にはスミレが多く、この斜面だけでも数種類のスミレが見られる。のんびりと草花や周りの景色を見ながら歩くことができるこの登山道は実に快適で気分もうきうきとしてくる。
ルンルン気分の稜線から急坂へ
しかし、いつまでもこの快適な道が続くわけではない。突然急斜面が現れる。しかしこの坂は4月中旬には山桜の美しいところで桜の花を見ながら一汗かくころにはこ急斜面も終わる。
急坂を登りきるとアセビの花のさく見晴らしのいい緩やかな稜線に
急斜面を登りきると再び緩やかな広々とした稜線に出る。両脇の潅木林からは鶯の鳴き声が聞こえてくる。
もう少しすればこのあたりのアセビの木は可憐なの白い花をいっぱいに咲かせほのかな香りを放つようになる。
ここまでくると展望もいっそうよくなり、富士をはじめ箱根連山から愛鷹山、それに丹沢の峰々を一望できる。先を急ぐのがもったいないような景色だ。
崩壊地を過ぎると山頂はまじかだ
少し傾斜が増すと左側には大きく崩壊した斜面が現れる。明神岳は箱根火山の外輪山で、山全体が溶岩のもろい地質でできている。そのため所々火山の片鱗を見せるような荒々しい場所もある。斜面の途中には今にも倒れそうな岩がある。そのうち地震でも来れば倒れそうだが微妙なバランスを保ってたち続けている。
崩壊地を過ぎると道は大きくカーブし明神岳の山頂ももう近い。この先の雑木林を抜けるとそこが山頂だ。雑木林には4月中旬になれば白いコブシの花が咲き、道端にはエンレイソウなどの花も見られる。
山頂に到着

明神岳はなだらかな山のためはっきりとしたピークは無い。山頂一帯は広々としており、中心に山頂を示す表j式があるだけだ。まだ少し時期が早いので人影はまったく無いが、連休や秋の行楽シーズンには山頂は大勢の人でにぎわう。
山頂からはこの先に続く明星が岳をはじめ、前面には箱根の山々が、そして富士山がひときわ高くそびえ、さらに少し移動すれば相模湾から丹沢の山まで360度の展望を楽しむことができる。

山頂にたちまわりの景色を見ていると建物がぎっしりたちならび、山の斜面にはゴルフ場が点在し、山肌はつぎはぎのような植林やコンクリートと、一体なぜこれが日本を代表する国立公園なのかと疑問を感じてしまう。
でも明神岳の山歩きは楽しい。
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