アラスカ・デナリ国立公園とアリエスカトレッキング (1996/09/08〜1996/09/16)

今回のアラスカ旅行は観光的色彩が強かったが、山岳トレッキングの荒々しい自然とは違い、広大な原野や湖、それに野生動物という全く未知の自然に接することができた。間近で見るマッキンリーの大迫力、また野生の動物のすばらしさ、美しい黄葉に彩られた原野、さらに至る所に見られる氷河の美しさと自然のすばらしさを大いに味わうことができた。できれば今度は初夏の緑あふれるアラスカの大地と豪快なフィッシングをしてみたいものである。それとぜひオーロラの神秘に触れてみたい。

大韓航空の午後の便で一旦ソウルに行きそこからアンカレッジに向かう。アンカレッジ上空に近づくに連れ空一面を覆っていた雲が次第に切れ、眼下に広大なアラスカの大地が見えてくる。大小の湖沼が点在する平原がしばらく続き、次第に山岳風景に変わっていく。標高が増すにつれ山頂は次第に雪に覆われ、山肌に沿って氷河が幾筋も伸びている。氷河といえば4000mクラスの山でないとなかなか見られないがここではおそらく1000mにも満たない山でも氷河が見られる。人の気配が全く無い大自然が延々と続きやがて海岸線の奥にアンカレッジの町並みが見えてくる。

 

マッキンリー、フォーレカ、ハンター遠望

アンカレッジから郊外へ出ると道の両側には針葉樹の林が延々と続きその下を紅葉したヤナギランが覆っている。アラスカは8月9月は天気が悪く曇りや雨の日が多いが、今日は快晴で半そで姿でちょうどいいくらいの快適な陽気だ。 アンカレッジから遠ざかるにつれ大きな湖沼や川が両側に広がり景色はさらに雄大となり、前方に真っ白に輝くマッキンリーの雄姿が見えてくる。タルキートナに近づくとマッキンリーを始め、フォーレカ、ハンターといった高峰を一望することができる。
天気がすばらしいのでタルキートナに到着してすぐ遊覧飛行に出かけた。小さなセスナに乗り、タルキートナを飛び立つと眼下には広大な原生林が広がり大小の湖沼が点在する。その間を大きな川がうねりながら流れている。

 

アラスカの原野

 

マッキンリーから流れ出した氷河

次第に山岳部に近づくに連れ山すそから氷河が現れてくる。山肌はぐんぐんと近づき次第にこれまでの土と岩の山肌から次第に雪に覆われた純白の険しい山容へと変わっていく。我々の飛行機はまず左のハンター山に向かい次第に山に近づきながら次の標高5302mのフォーレカ山を目指す。眼下には岩山が連なりその間を長い氷河が幾筋も流れている。遠くから見た時は独立峰のように見えたが大小の岩山が重なり合い以外と広大な山岳地帯だ。

フォーレカの山肌をかすめるといよいよマッキンリーだ。標高6194m、北米大陸の最高峰だけありその迫力あふれる姿は堂々としている。頂上は本峰とそれよりやや低い二つのピークがあり、いずれもお椀型をしており重量感あふれる姿だ。飛行機の高度は山頂よりやや低い所を山肌に沿って進む。頂上は厚い雪に覆われ全体がこんもりとしているが山腹は岩肌が露出していたりヒマラヤひだの急峻な壁になっており、中腹からは長大な氷河が幾筋も流れ出している。

 

マッキンリー

 

岩壁すれすれに飛ぶセスナ

マッキンリーを過ぎると今度は両側を岩壁に囲まれた氷河に入っていく。とても飛行機が飛べる様な所ではないほど狭いところで、翼が岩壁に当たるのではないかと心配になる。でも飛んでいるという感じではなく浮かんでいるといった感じでゆっくりと氷河の上を進んで行く。
タルキートナでの宿泊はラチチュード62という街道に面したモーテルで、ここは植村さんが定宿としていたところであり、最後となったマッキンリーの登山でもここを宿としていたそうだ。駅からすぐのハイウエーに面した所にある木造のなかなか雰囲気のいいロッジ風の建物だ。またここは中にバーが有り地元の人のたまり場になっているようで、連絡や情報交換は全てここですんでしまうという。明日の午前中のカヌーの予約もここで待っていればいいということだ。

 

ラチチュード62

 

タルキートナを流れる大河

早朝のタルキートナの町を散策に出かけた。町といっても人口数100人で10分も歩けば町の端に出てしまう。日本では人口数百人といえば過疎の部落だがアラスカではかなり大きな町だ。日本人の感覚からするとこんな人口が少ないところでよく生活ができるものだと思うが、途中の道路わきでもポツリポツリと一軒家が有り全く孤立したような生活を営んでいる。
近くのオオカミ園へ行くことになった。十数頭のオオカミがクサリでつながれており一頭一頭説明を聞きながら回った。しかし、犬とオオカミの違いがよく分からない。

 

オオカミ

 

カヌーで湖めぐり

近くの湖へ行きカナディアンタイプのカヌーにのった。前後の二人で漕ぐためなかなか呼吸が合わず、湖面に水しぶきをたて力任せに蛇行を繰り返しながらこぎ出した。次第に二人の呼吸が合いだすとボートは静に湖面をすべるように進む。湖の周りは黄色に色づき始めた林に囲まれ、初秋の日差しを浴びながらのんびりとカヌーを漕いでいるといつまでもこのまま漕いでいたくなる。
翌朝デナリ国立公園へ行きシャトルバスの到着を待った。10時頃バスが到着。さっそく左側の窓際の席に着席。ガイド兼ドライバーの青年のあいさつと説明の後いよいよアイルソンビジターセンター往復8時間のバスツアーの出発だ。 公園に入るとしばらくは針葉樹林が続くが、やがて林の木もまばらとなり広大な大地が広がる。公園内は既に紅葉も盛りを過ぎ、一面茶色の草に覆われている。  このバスは公園内の道をゆっくりと走り動物を見つけたらどこでもストップし観察をしながら進む。

 

デナリ国立公園オフィス

 

原野のグリズビー

最初にあらわれたのは河原にいるグリズビーである。遠くてなかなか発見できなかったが茶色の毛に覆われた大きな熊が河原を歩き回っている。 その後、羊、オオカミ、雷鳥の群れ、きつね、ムースなどを見つけては止まりを繰り返しながらバスは公園の奥へと進む。  途中から山地となり高度が徐々に上がるに連れ、小雨が次第に雪に変わり山肌は雪化粧となってきた。途中の峠に来ると眼下に広大な河が幾筋も流れる雄大な景色が展開する。晴れていればマッキンリーの姿も見えるかもしれない。

バスは昼過ぎ折返点のアイルソンビジターセンターに到着。あいにく小雨混じりで視界がよくないがここからはマッキンリーの姿がよく見えるところである。道はこの先ワンダーレークまで続いているが我々のバスはここから来た道を戻る。

 

紅葉のデナリ国立公園

 

ビーバーダム

朝起きると外は一面の雪景色だ。今日は公園の散策路をハイキングする。デナリ駅近くのホテル横から散策路に入った。新雪をかぶった黄葉の林の中をゆっくりと1時間弱歩くと馬蹄形をした針葉樹に覆われた小さな湖が見えてくる。あいにく背後にはロッジが見えるが、日本とは違って建物の周りにもこのような美しい景色が存在する。  湖から少し歩くとビーバが作った池がある。太さ2〜3cmほど長さ1mくらいに切った枝を何本も積み重ねてダムを築いてある。ダムの長さは10mくらい高さは1mくらいありよくもこんな大きな物を作ったものだと感心する。
午後は1日1便のアラスカ鉄道の列車に乗ってアンカレッジへ戻る。駅といっても改札はどこにも無く、プラットフォームもない。駅舎の前に線路があるだけだ。1時間ほどしてやっと黄色と青の巨大なジーゼル車の姿が見えてきた。客車は展望車を含めて10両位で、早速ステップを上がり列車に乗り込む。社内は空席が多く一番前の列車に陣取った。特に発車の合図もなくゆっくりと列車は動きだした。

デナリ公園駅のプラットフォーム

 

原野の中を走るアラスカ鉄道

駅を離れるに従い車窓の景色は開け、黄葉の林と新雪の山並みが続く。車に比べ展望がよくすばらしい景色の連続だ。景色が特にいいところでは展望ができるように速度を落としゆっくりと走る。 食堂の従業員は皆なかなかユーモアのセンスがあり、さかんにお客を楽しませてくれる。乗務員がテーブルを片づける時食器などが乗ったテーブルクロスを引くパフォーマンスを見せ乗客から大拍手を受けた。 楽しい列車の旅もそろそろ終わりだ。線路と平行して走る車の数も多くなりやがてアンカレッジ駅に到着である。
翌朝は小雨になった。今日はアンカレッジ郊外のフラットトップ山へハイキングに出かける。登山道はしっかりしており歩きやすい。最初は緩やかな道が続き次第に傾斜が強くなり、頂上直下は岩場のかなり急な道になる。しかし距離的には短く、1時間位で頂上に到着できる。

 

フラットトップ山

 

ブルーベリー摘み

岩陰で風を避けて昼食を取った後下山にかかった。中腹は一面赤く紅葉したブルーベリーの木で覆われており、ちょうど今実が熟して食べごろである。袋をだし皆で一斉にブルーベリー摘みとなった。形は小粒だが口に含むと甘酢っぱいブルーベリーのさわやかな味が広がる。あまりの多さになかなかあきらめがつかないが適当に切上げ下山にかかる。
ハイキングも終わり最後の目的地アリエスカへ移動する。道はずっとボーテージ湾に沿って走り、この湾には時々クジラが現れるという。必死になって海面を見ていると何か白いものが動くのが見えた。しかしそれはクジラではなく白イルカだった。2〜3頭の白イルカが潜ったり浮上したりしながら湾の中を移動していく。

 

ボーテージ湾のシロイルカ

 

アリエスカ山頂の氷河

朝降っていた小雨も上がりなんとかアリエスカ山のハイキングができそうな天気である。登山口はロッジから直ぐ近くのスキーリフトに沿って付けられた道を山頂めざして歩く。天気は次第に回復し晴れ間ものぞくようになり、周りの山にかかっていた雲もすっかり取れた。中腹まで来ると展望が開け、ボーテージ湾からアリエスカ一帯、さらには頂上を氷河に覆われた山々とすばらしい展望が広がる。 登るに連れ次第にブルーベリーの木やラズベリーの木が多くなり歩くことはしばし中止となりイチゴ摘みに夢中になってしまった。ここはフラットトップより大粒でラズベリーも多くちょうど食べごろである。
山頂には規模は小さいが氷河が有る。山頂を一周してロープウエーの駅に戻り下りはこのロープウエーを使って一気に下山である。

 

アリエスカ山頂を行く

ハイキングの後は金鉱後で砂金とりをする。以前は採掘が行われていたが今は観光客相手の砂金取りを行なっている。簡単な説明を受けてから料金5ドルを払いシャベルと砂金をより分けるための皿とサンプルの砂金が入っている砂を受け取り、はやる気持ちを押さえ川岸へと急いだ。 早速シャベルで川底の砂をすくい水で小石や砂をより分けていくがなかなか金の輝きは見えてこない。場所を変えてみたが一向に金の輝きは現れない。あきらめてサンプルの砂でやってみると金が出てきた。やり方が悪いのではなく金が無いということである。

一獲千金の夢もはかなく消え今日のスケジュールも無事終了。帰りに近くの食料品店により今晩の夕食の材料を買い込んだ。今晩は全員で食事をすることになった。メインはスパゲティーとサラダで、デザートはケーキとアイスクリーム、それにビールとワインのちょっと豪華な?夕食に適度なアルコールも入り話に花が咲き、夜遅くまで談笑が続いた。

アラスカでの旅も今日が最後。アリエスカ近くのボーテージ氷河ヘ氷河見物に出かける。車を降り一番近いバイロン氷河へ向かい、歩道を30分位歩くと氷河が押し出した大きな岩の壁が現れる。ここの氷河は短くて急斜面を一気に滑り落ちてきたような氷河で表面も荒々しい。氷河に近づくに連れ岩場も不安定となり危険なため、氷河舌端の直前まで行きそこから引き返すことになった。

 

ボーテージ氷河近くの山

山と花のアルバム  
戻る