バルトロ氷河トレッキング後編(パイユ〜コンコルディア)
いよいよカラコルムの核心部、K2をはじめ8000メートル以上の山が4座、6000から7000メートルクラスの山が連続するバルトロ氷河最奥のコンコルディアを目指す。

2日間パイユで休養し、いよいよバルトロ氷河トレッキング後半のスタートだ。パイユから先は、ほとんど氷河上のトレッキングコースとなる。氷河の両側はカラコルムを代表する名山が連続し、すばらしい山岳景観がコンコルディアまで続く。


コンコルディアめざしパイユを出発


バルトロ氷河の先端部

バルトロ氷河の先端からは氷河を融かした大量の水が激流となって吐き出される。カラコルムの山は険しくまた崩壊が激しいため、氷河上はほとんど岩で覆われ氷の上を歩いているという実感がない。

氷河上とはいえ日中には40度を超える猛烈な暑さになる。日をさえぎるものは何も無く、日中は暑さとの戦いが続く。夜、氷河上のテントでの宿泊は逆に寒さに耐えなければならない。過酷な気象条件だ。
こんな過酷な気象条件にもかかわらずポータの服装は昼も夜もほとんど同じ。厳しい気象条件のなかでも少しでも多くの荷物を担ぐため必死に耐えているのだろうか。


炎天下の氷河上を行くポータ


岩場に咲く色鮮やかな高山植物
Mirabilis jalapa (Four O'Clock Plant)

険しい岩場ガ続き空気が極端に乾燥しているためあまり植物を見かけなかったが、突然赤紫の美しい花が現れた。高さが30センチくらいのヤナギランに似たこ花の色は一際鮮やかで目を引く。

氷河から大量の水が溶け出し川となって氷河上を流れる。この流れは次第に勢いを増し氷河を削りやがて氷河の中に消えていく。氷河の下には巨大な川が流れ、ところどころ大きく陥没している。この激しい変化にトレキングコースも年々変わるようだ。


氷河上にも川が流れる


奇岩の連続するバルトロ寺院群の山

パイユの次の宿泊地ドブルツェあたりから自然が作り出した見事な彫刻、奇岩の連続するバルトロ寺院群ガ現れる。

今日の昼食のメインディッシュは眼前に展開する山々。パイユ、ウリビアフォ、トランゴ、カセドラルがずらりと並ぶ。この景色を前にして食事とはなんと豪華で贅沢なことだろう。


雄大な山岳景観をながめながらの昼食

トランゴタワー(6239m) カセドラル(5828m)


トランゴタワーとカセドラル


ロブソンスパイアー(6707m)

ウルドカスのテント場は氷河のはるか上の緩やかな斜面にある。ここからは真正面にバルトロ寺院群の迫力ある景観が楽しめる。いずれの山も険しく変化にとんだ迫力のある山ばかりだ。

ウルドカスはこのコースでは珍しく緑に覆われ多くの高山植物が咲いている。これまで見ることの出来なかった黄色いけしの花やサクラソウ、珍しいキキョウなど、20種類以上の高山植物が見られる。

Papaver nudicuule (Yellow Poppy)

ドブルツェ〜ウルドカス付近で見られる高山植物
Rhodiola himalensis Allium carolinianum Delphinium cashmerianum
Astragalus scorpius ? Primula rosea Kashimir Primula eiliptica Kashimir
Oxytropis cashemiriana ?

Aster flaccidus
Silene moorcroftiana Potentilla salesoviana シオガマの仲間
Hackelia uncinata 同じ茎にピンクとブルーの花 Androsace mucronifolia
Anaphalis nepalensis Leontopodium ? Waldheimia glabra
Comastoma pedunculatum Potentilla peduncularis ?


ゴレ付近の氷河

ウルドカスから先にはきれいなヒスイのような緑色の石がたくさん落ちている。石を拾いながらゴレまでくると氷河の景色も様子が一変する。山もバルトロ寺院群の得意な山から、いかにもカラコルムの山といった黒々とした巨大な山が現れる。
ゴレを出発して数時間いよいよバルトロ氷河の核心コンコルディアが前方にみえてきた。右手には端正なマッシャーブルム、左手にはどっしりとしたムスターグタワー、行く手をさえぎるガッシャーブルムの美しい姿に興奮と感動の連続だ。


コンコルディアは近い

マッシャーブルム (7821m)


ムスターグタワー (7273m)


ガッシャーブルムW (7980m)

鋭い尖鋒の連続する無名峰 (6963m)

日本を発って約2週間、やっとバルトロ氷河の終点コンコルディアに到着した。
ここはまさに究極の山岳景観だ。ぐるりと8000m前後の山に囲まれどこを見てもすばらしい景色に圧倒される。


Cristal Peak (6237m), Marble Peak(6238m)



バルトロカンリ (7280m)


新雪をまとった無名峰にわずかにチョゴリザ(7665m)が


ガッシャーブルム (7980m)


夕日に染まるガッシャーブルム


ブロードピーク (8047m)


K2 (8611m)


K2の前で行者の説教を聞くポーター

雲ひとつ無い紺碧の空をバックに聳える新雪のK2の姿は威厳に満ちた神々しさを感じる。そのK2をバックにポータらしき人が行者から説教を受けていた。

遠くから大きな歌声が響いてきた。大勢の人が輪になって歌を歌い踊りをおどっている。ひょっとして登頂に成功したお祝いかと思ったら、これはパキスタンの慈善団体が子供たちを勇気付けるためにここまでトレッキングをしてきたその達成の喜びの輪だった。


ボランティアグループ


コンコルディア撤収

山と花のアルバム  
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