キナバル山登山 (1992/05/01〜1992/05/06)

 

成田をたってマレーシアの首都クアラルンプールに一泊し翌日ボルネオ島の東北部にあるコタキナバル空港に到着。迎えのバスに乗り込むといきなりの土砂降りになった。熱帯地方特有のスコールで外の景色はまったく見えなくなってしまう。しかしコタキナバルの町に近づくころには雨もすっかり上がり青空になった。初めて経験するスコールは強烈だった。

 


宿泊したホテル

 

途中から見たキナバル山

翌朝バスでキナバルの登山口の有る公園入り口まで行く。コタキナバルから郊外へ出るとはるかかなたにうっすらとキナバル山の姿が見えてくる。バスは次第に山中へ入るが山にはほとんど木がない。ボルネオといえばうっそうとした熱帯のジャングルに覆われた島と思っていたが、木はほとんど伐採されその多くは日本へ輸出されている。途中の見晴らしのいいところでバスは休憩のため停まった。民芸品などの みやげ物を売る店や果物を売る店が並んでいる。そこで食べた緑のバナナはとてもうまかった。

公園のオフィスで入山手続きを済ませたあとガイドとポータと合流。キナバル登山には必ずガイドをつけなければならない決まりだ。ポータは大きな竹の籠にわれわれの荷物を入れ担ぐ。
うっそうとしたジャングルが続き、木には着生植物がびっしりとつき普段歩きなれている日本の山とはだいぶ趣が違う。

 

ジャンブルの中の登山道

 

途中の休憩所でスイス人と歓談

道はとてもよく整備されており危険なところはほとんどなく、途中には数箇所の休憩場所が有る。
途中の休憩所でスイスから来たという若い男女二人としばし国際交流。

ボルネオは蘭を始め珍しい植物も多く、キナバル山一帯にも蘭の花が多い。木々には着生植物が多いが残念ながらほとんど花が咲いていなかったので種類はわからない。ガイドがウツボカズラを見つけては教えてくれる。ウツボカズラも何種類かあるようで形や色、大きさが違う。

 

登山道で見かけたラン

 

キナバル山頂風景

うっそうとした熱帯のジャングルもいつしか木々の背丈が低くなり展望も徐々に開けてくる。やがて前方に巨大なキナバルの山頂部が現れる。キナバル山は全体が大きな花崗岩でできており黒々とした重量感あふれる山だ。山頂は氷河で侵食されたためか、いくつもの奇岩が並び複雑な形状を見せている。

夕方やっと標高3300mに建つラバンダトハットに到着した。部屋は2段ベッドで、日本の山小屋のようにぎゅうぎゅう詰になることは無い。食堂のメニューも中華を始め豊富で値段も安く味も良い快適な小屋だ。
小屋に入ると急にスコールがきた。キナバルの巨大な花崗岩の山肌には、降った雨が一気に流れだし滝ができる。スコールが終わると再び青空が現れ夕方には美しい夕焼けが見られた。

 

山頂から滝のように流れる雨水

 

やっと山頂に到着

早朝、というより深夜小屋を出て真っ暗闇の中をライトのあかりを頼りに急な道を登る。ヘッドライトの明かりがいらなくなるころ途中のサヤサヤヒュッテに到着。この小屋は非難小屋で無人小屋だ。 キナバルは全体が花崗岩でできておりざらざらした岩肌のためとても歩きやすい。高度が上がるにつれ空気が薄くなり足取りが次第に重くなってくる。山頂に近づくと登山道には山頂までロープが張ってある。このロープに沿って山頂を目指す。山頂が間近になるにつれ次第に傾斜はきつくなるが最後の力を振り絞って登ると東南アジア最高峰、標高4095mのキナバル山頂にたつことができる。
生憎うすぐもりでご来光は見られなかったが雲海の先にはコタキナバルの海岸線がひろがる。

 

山頂からの眺め

 

奇岩の並ぶ山頂部

山頂の一方は鋭い絶壁になり反対側にはドンキーイヤーといわれるロバの耳のような切り立った大きな岩が2本あり、周りにも大きな奇岩がいくつもありここが4095mの山頂とは思えない光景だ。 これらの岩は氷河が作り出した造形である。
山頂でしばらく景色を楽しんだ後ふたたびラバンラトハットまで下山する。普通は一気に下まで下山するがかなりハードなので今回のツアーはもう一日ラバンラトハットに一泊して明日ゆっくりと下山する。 小屋に戻ると宿泊客は既に下山しておりわれわれのみである。ゆっくり小屋の食堂で昼食を済ませた後、暇になった従業員と一緒に楽しく談笑をしてすごした。従業員といってもみな二十歳前後の若い男女ばかりで、多くは大学生でアルバイトでここに来ているという。
翌朝下から上がってきたポータに再び荷物を渡しのんびりと同じ道を公園事務所まで下った。一日で小屋から頂上へ行きそのままこの長い下り道を歩くのはかなり足にこたえる。一泊すると多少時間を持て余すがそれでも無理をしないでゆっくり景色や花を楽しみながら歩けるほうがいい。 公園事務所でキナバル登頂証明書を発行してもらい3日間お世話になったガイド、ポータとも分かれ再び迎えのバスでコタキナバルの町へ戻った。
今夜で最後ということで海岸近くのレストランで食事をすることになった。中国系のシーフードレストランで、水槽のなかの魚やロブスターなど好みのものを選んで、調理も何種類課の中から好みのものを選べる。 席につくと隣の部屋がにぎやかになってきた。ちょうど結婚式の披露宴が始まったところだ。新郎新婦は中国系で出席者も中国系の人が多い。円卓がいくつも並べられテーブル一杯に料理が並ぶ。日本のように静かで形式ばったところが無くみんな飲めや歌えのにぎやかな披露宴だ。
山と花のアルバム  
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