中国・青海省東南部の高山植物

2007/0708~07/19
 
2007/07/08 (晴れ)  西寧(2275m)から日月山峠(3520m)を経て青海湖(3196m)へ
  今日から青海省東南部に咲く高山植物を求め11日間の旅が始まる。4輪駆動車に分乗しおよそ1時間ほど走るとこれまでの平坦な道から次第に山道へと入る。高度をますにつれ道の両側にはしだいに花の姿が目に付くようになる。途中車を止め道路わきの斜面に上がると黄色のキョクチヒナゲシ、ブルーのベロニカ、地味なアブラナ科の花、アズマギクの仲間やマンテマやケマンソウの仲間、マメ科の花、サキシフラガの仲間など日本ではあまり見ないような珍しい花も多く咲いている。
山間部へ入る

斜面には多くの花が
 さらに30分ほど走ると広大な草原に変わる。中国ではどこでも目にするステレラカマエヤスメの大群落に混じり、シオガマやキンポウゲ、アブラナ科などの花が見られる。しかし花の種類はあまり多くはない。これはこの地方ではどこでも草地は放牧地になっており、家畜により葉が食され有毒植物や生命力の強い種類しか残らなくなってしまうのではないのだろうか。
 やがて日月山峠(3520m)に到着。ここには唐の時代の文成公主により建てられたという日亭と月亭がある。ここの観光をおえ峠を下る途中やや石混じりの草地の近くに車を止めるとサクラソウやアヤメ、シオガマ、アブラナ科、キンポウゲ、キク科やリンドウなど多くの花が見られた。

ステレラ・カマエヤスメの群落

日月山峠
 峠を下りきると広大な平原となり菜の花畑が延々と続く。2時ころ青海湖畔に到着。昼食後は青海湖周辺の観光をした後今日の宿泊地青海湖賓館に到着。
青海湖畔

青海賓館
     
2007/07/08に見られた花
 
2007/07/09 (晴れ) 青海湖(3196m)から共和(2850m)へ
 今日は青海湖の近くにある茶卞塩湖という塩の湖の見学に向かう。ホテルを出発すると道はどこまでも続く直線道路となり道に沿って広大な菜の花畑が延々と続く。日本ではこれほど同じ景色がどこまでも続くということはないので大陸の広大さを感じる。
一面の菜の花畑

どこまでも続く直線道路
 単調な景色も終わり次第に山岳部へと入り標高3817mのシャンピー山峠に到着。ここで車を止め周辺の花を観察した。あたりは広大な草原でここも放牧地になっている。昨日に比べやや高山性の花が目に付くようになり、サクラソウ、ウスユキソウ、キンポウゲ、サキシフラガ、キク、ハハコグサ、マメ科の花、ムカゴソウやワスレナグサなどがみられた。
シャンピー山峠
 
 峠を出発し1時間ほどで茶卞塩湖に到着。この湖は15.8Kmx9.2Kmの大きさで、盆地にある為水分が蒸発してしまい湖全体が塩である。その深さは平均4m、深いところでは15mもあるという。おとづれる前に雨がかなり降り塩の上に水がたまり、まるで南国の白砂の海岸のようであった。湖の中ほどに塩を運ぶためのトロッコの線路があり観光客もトロッコで湖の中ほどまで行くことができる。
 見学を終え青海湖の近くにある共和までもどり今日の日程は終了。

茶卞塩湖

塩を運ぶトロッコ
     
2007/07/09に見られた花
 
2007/07/10 (晴れのち雨) 共和(2850m)から瑪多(4200m)へ
 共和を出発し郊外にあるチャンプル・ゴンパを見学。チャンプル・ゴンパはグルク派の寺院で180人の僧がここで修業をしている。建物は文化大革命で破壊され1980年に再建された。チャンプル・ゴンパの見学を終え今日の宿泊地瑪多へ向け出発。瑪多は標高4200mの高地にあり今日一日で一気に1350mも高くなり高山病が心配だ。

チャンプル・ゴンパ

チャンプル・ゴンパノ内部
 道は山岳部に入り標高が次第に高くなにつれ草原の中にブルーポピーが現れた。車を止め草原に入ると高山性の花が多く見られる。すでに標高は4000mを超えているようだ。草原は岩礫が多く家畜からの食害が少ないのだろうか、ブルーポピーをはじめ一見サクラソウのようなきれいな色をしたアブラナ科らしき花、オヤマノエンドウの仲間、ツメクサの仲間、シオガマ、ウスユキソウ、ユキノシタ科の花、タデ科、キク科の花など多くの花が見られる。
草原にはブルーポピーの花も

近くには羊の群れが
 途中標高3900mにある温泉(温泉があるかは不明)で遅い昼食を済ませ夕方6時すこし前に瑪多に到着した。町のはずれにある丘陵にはおびただしいタルチョがたちそのスケールに驚く。
町はずれにあるタルチョの山

今日の宿交通賓館
     
2007/07/10に見られた花
     
2007/07/11 (曇り)   瑪多(4200m)から鄂陵湖(4271m)へ
 今日は瑪多から黄河源流をおとづれ再び瑪多に戻る。瑪多を出るとあたりは広大な草原となり道は前日の雨でぬかるみが多く悪路が続く。途中では4輪駆動車がぬかるみでスタックし仲間の車で引き出されるということもありこの先が思いやられる。脱出までの間草原の花を見ることができた。ここはすでに標高が4300m程度あり植物の姿はどれも地面にへばりつくように咲いており、いわゆるクッション植物といわれ、コケのような姿をしている。クッションというと柔らかそうだが実際には堅く、この中にわずかな水分を蓄えて成長している。ここで多く見られるのはオヤマノエンドウの仲間で、そのほかにはアンドロサケ(トチナイソウ)やアブラナ科、ウスユキソウ、アヤメ、ツメクサの花などが咲いている。
 ぬかるみを脱出すると今度は川の渡渉だ。ここでも一台の車が出られなくなってしまったがほかの車で引き揚げようやく川を渡ることができた。

四駆もぬかるみに出立ち往生

クッション植物
 やっと順調に走りだし大平原の中を40分ほど走ると黄河源流の入り口を示すゲートが現れる。ゲートのすぐ横には「黄河源流牛頭碑」の石碑がある。驚くことに黄河源流へ行くにはこのゲートで料金を払わなければならない。特別な施設があるわけではなくただその場所へ行くというだけでお金を払わなければならないというのは驚きである。ゲートを入り湖にそってしばらく走ると再びぬかるみになった。この先の道はさらに悪路になるということでここで先に行くのは断念し瑪多へ引き返すことになった。それにしても通行可能かは一切お構いなく金だけとるやり方には憤慨するが、ここは中国!!
 代わりにではないが帰りに黄河にかかる橋を歩いて渡る。本来は澄んだ水が流れているが、前日の雨で川の水は茶褐色に濁りかえってこの色の方が黄河らしい。

黄河源流への入り口

源流へ行くことは断念
     
2007/07/11に見られた花
     
     
2007/07/12(晴れ) 瑪多(4200m)からバヤンカラ峠(4824m)を通り玉樹(3710m)へ
 今日は瑪多を出発し途中このコース最高所となるバヤンカラ峠(4824m)を通り玉樹まで行く。瑪多を出発すると昨日通った星星湖が現れる。昨日は曇り空で湖は灰色だったが今日は晴天で湖面は真っ青に輝き草の緑とのコントラストがとても美しい。
 湖畔でしばらく休憩し花の散策をしたが花は少なく新しい花を見ることはできなかった。星星湖を後に乾燥した広大な丘陵地帯を進むとやがて眼下に広大な湿地帯が現れる。周りは砂漠化が進む乾燥した地形なのにどうしてこんな巨大な湿地ができるのかふしぎだ。残念ながら車で走り去ってしまったのでどんな植物があるかかは分からなかった。

星星湖

大湿地帯
 湿地帯を通り過ぎると再び広大な草原となり徐々に標高を上げていく。しばらくすると草原の中に黄色い花が見えてきた。車を止めてその花に近づくと何とブルーポピーの仲間で黄色のメコノプシス・インティグリフォリアではないか。今まで黄色のブルーポピーの群落は見たことがなかったが草原のあちこちに咲いている。他にも一見サクラソウのようにきれいなアブラナ科の花、キンポウゲ、リンドウ、サキシフラガの仲間、アンドロサケなどに混じりブルーポピーも見られる。もっと時間をかけて花を見たかったが先が長いので途中で切り上げ出発。この後も草原には一面のイエローポピーの群落が絶えることなく続く。
斜面一面に咲くイエローポピー

高山植物咲く草原
 やがてこのコースの最高地点バヤンカラ峠(4824m)に到着。チベットではどこの峠にもタルチョがあり峠で経文を書いた紙をばらまくので峠の周辺は紙が散乱している。周囲にはあまり花の姿は見られずあまりの寒さに早々に峠を出発。
 峠を下り1時間ほど走ったところで再び停車。キンポウゲが一面に咲く草原の中にはブルーポピーや今回の旅の目的の一つであったインカルビレアの花が咲いている。そのほかにも奇妙な形をしたナス科の花やウルップソウの仲間など珍しい花が見られた。さらに標高がさがったところではマメ科の仲間やリンドウ、シオガマなどの花が見られる。シオガマは日本ではあまり種類は多くないが中国には600種類を超える種類があり名前を調べるのに苦労する。

バヤンカラ峠(4824m)

インカルビレアの花も咲いている
 途中の清水河で昼食を済ませたあと再び玉樹へ向け広大な草原の中を走る。
 単調な草原風景が続き花を見るのも忘れかけていたころ突然車が停車した。なにがあるのだろうかとガイドの後を追うとブルーポピーの群落が現れた。今年は日本でも花の時期が遅れていたが中国でも遅れておりこれまで期待していたブルーポピーはほとんど見られなかったがここには小群落があり種類も複数混在している。しかし突然強風とともにはがしいあられが降りだし撮影もままならず急いで撮影を済ませ車に戻った。ここは帰りにもう一度通るので帰りに期待してここを後にした。


延々と続く広大な草原

ブルーポピーの小群落
 玉樹の手前で寺の見学をするため新案村に立ち寄った。この寺はマニ石で壁が築かれその数3億個といわれる。寺を一周して正面に来ると巨大なマニ車が現れる。これだけ大きいとさぞご利益もあるのだろう。
 寺を後にするとすぐ玉樹に到着する。玉樹は周りを山に囲まれた盆地にあり周囲には寺院が多くここへ来た目的の一つも寺院の見学である。

3億個のマニ石の壁

玉樹の宿・拉布寺賓館
     
2007/07/12に見られた花
 
2007/07/13 (晴れ) 玉樹(3710m)周辺
 朝玉樹のホテルを出発し郊外にある文成公主廟へ向かう途中で停車して花を探す。これまでに比べ標高が下がったせいかあるいはすぐそばを川が流れているるためか少し花の種類も変わり、サルビア(シソ科)の花、マツムシソウの仲間、デルフィニュームやトウヒレン(キク科)、メタカラコウの仲間や黄色のシオガマ(ペディクラリス・キネンシス)、リンドウ科のゲンティアノプシス・パルドサなどこれまでに見られなかった花が見られた。そのほかにもマメ科やウスユキソウ、キンポウゲなどの花も多く見られた。
玉樹のメインストリート

途中の草地で花探し
 しばらくして山間部へ入ると岩壁一面にタルチョが現れる。あまりのスケールに車を止めて見学していると道路横の狭い草地にはこれまで見られなかったシソ科のラミフォロミス・ロタタがたくさん咲いている。他にもシオガマやワスレナグサ、サクラソウやアネモネの花も見られた。
 文成公主廟はここから歩いて行けるほどの距離にある。文成公主廟は青海省の文化財に指定されている寺院で641年に文成公主がここに3か月滞在したという。

崖一面のタルチョ

文成公主廟
 寺の見学を終えた後タルチョを見に行く人と花を散策する人に分かれた。寺院の前にある斜面にはブルーポピーが数輪咲いており他にもフウロソウやコウリンカに似た花などが咲いている。
 このあと近くにある鳥葬台の見学に向かった。途中の道路わきにはクレマチスがたくさん咲いている。草原を少し上ると斜面の中ほどに鳥葬台がある。日本人からするとちょっと残酷な感じもするが鳥が死者を天空高く運んでくれると信じてのことだろうか。

文成公主廟前の草地

鳥葬台
 一旦玉樹にもどり昼食を済ませた後ホテルでくつろいでから近くの山の上にあるジュグ・ゴンパの見学に出かけた。ジュグ・ゴンパはサキャ派の寺院で建物は赤、黒、白の3色で統一されておりここには800人の修行僧がおり、山頂一帯には僧坊が立ち並ぶ。

ジュグ・ゴンパの内部

ジュグ・ゴンパの僧坊
 今日の夕食は郊外にあるチベット村でチベット料理をいただくことになった。最初に出てきたのはヨーグルト、これは砂糖を入れてなんとかいただけたが次はツァンパ。ツァンパは小麦粉とバターを湯で練って食べる。しかしバターくさくとても食べられない。その後何点か運ばれたがあまりうまいものはなく特にご飯は芯だらけで堅くとても食べられたものではなかった。一生懸命御馳走を作ってくれたのに口に合わずごめんなさい。食事のあとは外でチベットのダンスが披露されたが寒くて盆踊り気分ではなかった。
チベット村のレストラン

チベット料理の数々
     
2007/07/13に見られた花
     
2007/07/14 (晴れ)  玉樹からバヤンカラ峠(4824m)を通り瑪多(4200m)へ
 玉樹での日程を終わり再び同じ道を瑪多まで戻る。玉樹を出てほどなくして川の近くの草地で停車。ここにはアザミの大群落がありその先にはトリカブトの群落がある。道の反対側には今回唯一のランがあり、他にもデルフィニュームやクレマチス、シオガマやシソ科の花も見られた。道はしばらく川沿いを走り河原にはところどころピンクのシオガマやブルーのワスレナグサなどの群落がありとてもきれいだ。
玉樹郊外から見るジュグ・ゴンパ

トリカブトの大群落
 途中黄河、長江、瀾滄江の三江の源流がこの近くにあるということを示す石碑に立ち寄ったあと山間部を抜けチベット高原への上り坂になる。先日この途中にブルーポピーの小群落があったが強風とあられでじっくり花を見ることができなかった。今日は天気は快晴で無風。群落の近くで車を降りると強い日差しに照らされた鮮やかなブルーポピーの花が崖近くにたくさん咲いている。崖を少し降りた斜面にもあちこちにブルーポピーが咲いている。よくみると姿や花の特徴が異なり少なくとも2種類以上が混生しているようだ。色も濃いブルー、空色、紫色、ピンクがかった紫色と色とりどりだ。ブルーポピー以外にもアンドロサケ(トチナイソウ)や白いケマンソウなどが見られた。
再び大草原へ

色鮮やかなブルーポピー
 行きと同じ途中の清水河で昼食を済ませバヤンカラ峠目指して出発。峠の少し手前でトイレ停車。近くに小川が流れているのでそばまで行くと何と川には魚が泳いでいる。およそ20センチほどで他にも小魚がたくさんいる。標高は4500mほどであろうか、こんなところに魚がすんでいるとは驚きだ。
草原を流れる小川

20cmほどの魚が泳いでいた
 バヤンカラ峠に到着。先日のバヤンカラ峠は寒さで震えていたが今日はさわやかな心地よい風が吹く。峠を過ぎると道路わきの草原にはブルーポピーの群落が続き途中で再度ブルーポピーを撮影したあと瑪多を目指しチベット高原をひた走る。やがて大湿原が現れ荒漠とした荒れ地を走り抜けると瑪多へ到着。
再びバヤンカラ峠へ

イエローポピーの群落
     
2007/07/14に見られた花
     
2007/07/15(曇り)  瑪多(4200m)から瑪沁(3735m)へ
 花の旅も後半に入り今日からこのたびのハイライトでもあるアムネマチンの近くにある瑪沁へ移動する。瑪多を出発し1時間ほど草原の続く緩やかな登り道を走ると峠に到着する。この峠からは天気が良ければアムネマチンの姿が見られるのだが今日はあいにく雲が多く山頂付近は雲に隠れたままだった。
 峠を出発すると道は次第に悪路になり途中川の渡渉を何度か繰り返ししばらくはやや乾燥気味の草原が続く。

峠からのアムネマチン

悪路の中を進む
 2時間ほど走ると再び草原の緑が濃くなり花の姿も多くなってきたので車を止めた。岩礫の多い傾斜地でははブルーポピーをはじめサキシフラガ、ツメクサの仲間、アブラナ科の花、アズマギク、アンドロサケ、球形のビストルタ、トウヒレンやシオガマなどと多くの花が見られた。
高山植物が咲く斜面

高山植物が咲く斜面
 ここを出発して次第に標高が下がるとイエローポピーの花が現れる。1時間半ほどでやっと人家が現れる。このあたりの草原は一面ビストルタの花におおわれておりその中に混じってマメ科やリンドウ、シソ科ヤキク科の花が見られる。
 瑪多を出発しておよそ9時間ほどかかってやっと今日の宿泊地瑪沁の果洛賓館に到着した。果洛賓館は果洛州の役所の敷地内にある宿舎でもともと役人のための宿泊施設を今は民間に開放しているようだ。

やっと人家が現れた

瑪沁に到着
     
2007/07/15に見られた花
     
2007/07/16 (晴れ)  瑪沁(3735m)からアムネマチンベースキャンプへ
 今日は瑪沁周辺へブルーポピーの花を見に行く予定であったが他のツアーの情報でブルーポピーの開花が遅れているということで予定を変更し明日行く予定だったアムネマチンベースキャンプへ行くことになった。
 瑪沁を出て2時間ほど走ると前方にアムネマチンの姿が現れる。中国へは今回が3度目だがいずれも天気が悪く山の姿を見られなかったが3度目にしてやっと中国の山を見ることができた。だがアムネマチンはまだはるか彼方だ。

瑪沁郊外

遠くにアムネマチンの姿が
 道は次第に山間部へと入り狭い谷に沿って走るようになる。崖の所々にある草地には花も多く見られたが狭い道で車を止めることもできずそのまま通り過ぎた。
 途中小さな村で小休止した後再び狭い道を走り1時半ごろベースキャンプに到着。ベースキャンプといっても周りには何もなく川原があるだけだ。

次第に近づくアムネマチン

アムネマチンBC
 ここで昼食を済ませた後周辺の斜面で花を探したがトウダイグサの仲間やアユガ、アブラナ科の花などがわずかにみられるだけで花は少ない。河原に降りるとトリカブトのような花があちこちに咲いていたがとても地味でよく見ないと花と分からない。そのほかにはアザミヤシソ科の花などが見られたが全体的には花は非常に少ない。帰りに途中停車した川近くの草地ではナス科の花が一株だけ咲いていた。
アムネマチンBCに咲くアユガの群落

トリカブトの一種
     
2007/07/16に見られた花
     
2007/07/17 (曇りのち晴れ) 瑪沁(3735m)周辺
  今日は半ばあきらめ気分で瑪沁郊外へブルーポピーの花を見るため出かけた。郊外の草原をしばらく走ると山岳部へ入る。ちょうど少年のラマ僧たちの行列に遭遇。少年ばかり12人の列で中には小学生程度の幼い僧もおり必死についていく姿がとてもユーモラスだ。
少年修行僧の列

必死に後をついていく子坊主
 山岳部に入ると斜面には花の姿が多くなり途中斜面に赤いブルーポピー(メコノプシス・プニケア)が見えたので小さな流れのある場所で車を止め花を探した。斜面はこれまでの放牧地と異なり一面背の高い草花が繁り家畜による食害はあまりないようだ。
 赤いブルーポピー以外にもシオガマ、カルダミネ、アネモネ、フリチラリア、リンドウ、メタカラコウの仲間やアリウムなどこれまでとは違った比較的大型の花が多くみられた。このほかにも名前のわからない花も数種類あった。

高山植物の群落

草原に咲く高山植物を探す
 車でさらに進むとキンロバイの小灌木が続きその灌木の間に赤いブルーポピーが点々と見える。1時間ほど走って車を止めキンロバイにおおわれた斜面に入るとキク科ソロセリス属の花が見られた。しかし期待したブルーポピーは全く見られず諦めて瑪沁へ戻ることになった。
突然現れたカーボーイ

レッドポピーの咲く草原
 帰りにチベット族の放牧キャンプを訪問させてもらうことができた。3世代家族がテントで生活をしている。放牧をして移動生活をするためためであろうか、家財道具などは必要最小限の質素な生活だ。
放牧地

おじいさんと孫
 午後は瑪沁郊外にあるゴンパの見学に出かけた。このゴンパはニンマ派の寺院で、できてまだ6年と歴史が浅く誰に聞いても寺の名前を知らない。
瑪沁郊外のゴンパ

108の仏像が並ぶ壁
     
2007/07/17に見られた花
     
2007/07/18 (曇り) 瑪沁(3735m)から黒土山峠(4234m)を経て貴徳(2370m)へ
 花の旅もいよいよ終盤を迎えた。今日から2日かけて西寧へ戻る。瑪沁を出発し20分ほど走ると標高4234mの国土山峠に到着する。峠付近の草地には目新しい花はなくキンポウゲやビストルタばかりが目に付く。
 峠を出発してすぐ斜面に紫色の大きな花が咲いており車を止めてそばへ行くとブルーポピーの仲間の一つ、メコノプシス・クインツブリネルビアだった。急斜面のおかげで食害が少なく他にもレッドポピー、シオガマ、コウリンカの仲間、クサフジの仲間や名前のわからないアブラナ科らしき花などが見られた。

国土山峠(4234m)

メコノプシス・クインツブリネルビア咲く斜面
 峠を下り切ったところで再びトイレ休憩をしたがここにはアリウム・プルゼワルスキアヌムや黄色いサクラソウの花が咲いていた。
 道はこの後山間の悪路が連続し工事があちこちで行われており距離の割には時間がかかる。やっと工事区間も終わり峠を越えると景色は一変する。あたりの山ははすべて赤茶けた色をしており激しい浸食でまるでグランドキャニオンのような迫力ある景色が展開する。残念ながら車は一気に下ってしまいゆっくり景色を見ることもできなかった。また途中にはシオガマかチドリらしいきれいな花の群落もあったがそこも通過してしまった。

崖に咲くアリウム・プルゼワルスキアヌム

赤茶けた山肌と緑のコントラストが美しい
 昼食後近くのラプキャ・ゴンパの見学に出かけた。ラプキャ・ゴンパはゲルク派の寺院で現在は500人の僧がここ修行している。文化大革命で建物は破壊され現在も修復工事中である。
 ゴンパを出発しそのあと同徳という町に立ち寄ったが日程は大幅に遅れ9時にやっと貴徳のホテルに到着。

ラプキャ・ゴンパ

同徳の町
     
2007/07/18に見られた花
     
2007/07/19(曇り一時雨) 貴徳(2370m)から西寧(2275m)へ
 花の旅も今日が最最終日。昨日夜遅く到着したことと西寧までは近いので10時ころ出発。出発してすぐ黄河にかかる橋を歩いて渡る。このあたりの地質は乾燥した黄土が多く、そのためか川は茶色に濁っている。川を渡り終えしばらくすると道の両側には切り立った絶壁が連続する。絶壁地帯を抜けると道の右と左では山の様相が全く異なるようになる。右側は緑が多いが左側は乾燥した荒れ地が多い。たぶん風の影響で左側の斜面には黄土が降り積もるためであろう。
黄河

切り立った断崖が続く
 黄土地帯を抜けると再び緑の草原になり菜の花畑が目立つようになる。
 昼ごろ行きに通った道で最後の花探しをした。10日以上たつと様相は一変しここが同じ場所だとしばらくわからなかった。行きには全く咲いていなかったデルフィニュームがあちこちに咲き、ワスレナグサやシオガマ、マンテマ、トリカブトの仲間などの花がたくさん咲いていた。さらに少し下るとヒナゲシの仲間であるキョクチヒナゲシの群落が現れ黄色いケシの花に混じってオレンジ色の花も見られる。
 山道が終わるとあたりは田園地帯となり間もなく車は西寧市内へと入り花の旅もこれで終わりとなった。

再び緑の光景が現れる

ヒナゲシの群落
     
2007/07/19に見られた花
     
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