雲上に花園を求めて黒岳へ

2004/07/27

大雪山系の西に位置する黒岳は東側の旭岳同様ロープウエーとリフトを乗り継いで五合目まで行くことができる。五合目からはよく整備された登山道が山頂まで続き、途中雄大な景色や斜面一面に咲く高山植物を見ながら楽しく歩くことができる。山頂一帯は雄大な山岳景観をバックに色鮮やかな高山植物の群落が続き、まさに雲上の花園だ。
     
層雲峡にあるロープウエー乗り場に到着したのが8時過ぎ。ロープウエーは約20分おきに出ているのでそれほど待つことも無く乗ることができる。ロープウエーに乗るとしばらくして後ろの窓にはニセイカウシュッペの姿が現れる。北海道の山は本州の山のように植林やバリカンで刈ったようなスキー場やゴルフ場などの醜いところが無く、全山が原生林に覆われとても美しい。(実はロープウエーの下はそうではないのだが)また前方にはこれから目指す大雪の山並みが現れ雄大で美しい景色に早くも胸が躍る。

ロープウエーを降りリフトに乗り換えれば一気に黒岳5合目に到着しここから山歩きがスタートする。
北海道は夏でもさわやかと思って来たが、猛烈な暑さと湿気で歩き出すとすぐ全身汗だくになる。
道は整備がよいので危険なところはまったく無く楽に歩くことができるが、この暑さは少々こたえる。歩き始めるとすぐモミジカラマツやカニコウモリなどの亜高山帯で見られる山野草が現れる。

高度を上げるにつれキンバイソウやレイジンソウなどの比較的大型の高山植物が見られるようになり、8合目あたりを過ぎると樹林帯も消え斜面は一面高山植物に覆われる。樹林帯を抜けると登山開始時の湿気も無くさわやかな風を受けながら周りの雄大な景色や高山植物を見ながらの快適な登山になる。

次々と現れる美しい高山植物に夢中になっているといつしか山頂に到着する。山頂はごろ石に覆われ周りをさえぎるものも無く360度のすばらしい展望が得られる。
前方右手には残雪の美しいなだらかな山容の北鎮岳が、そして正面には両翼をいっぱいに広げた間宮岳の稜線が続き、さらに左に目を移すと北海岳から白雲岳へと続く雄大景色が広がる。たまたま旭岳のロープウエーが利用できないためか山頂は多くの登山者で大賑わいだ。
山頂一帯には登山道で見てきた高山植物とは異なり、岩場や風衝帯で見られる背丈の低いチシマキンバイやイワヒゲ、エゾタカネツメクサ、エゾツツジなどが小群落を作って咲いている。


山頂から黒岳石室へ下る道の両側にも高山植物がいっぱい咲き、本州では見られない珍しい高山植物も多く見られ先を急ぐのがもったいない。途中のハイマツ帯を過ぎ斜面がなだらかなになるとこれぞ北海道といわんばかりのすばらしい花畑の登場に思わず興奮してしまう。
おびただしい量のエゾノツガザクラの群落、斜面一面に咲くチングルマやエゾノコザクラの群落と、色彩豊かな花畑に大感激。
通り過ぎるのがもったいない花畑だがそこを過ぎてもなお足元には高山植物の花が続き、特にミヤマリンドウの青い色に目を奪われる。美しい高山植物を見ながら緩やかな斜面を下りきるとやがて黒岳石室に到着する。

石室からは登山道は二手に分かれる。直進すると北鎮岳方面へ、左は北海岳への登山道となる。今回は時間が無いのでこの先の山まで行くことができないので北海岳に向かう左の道を少し歩いてみることにした。
分岐から先は緩やかなくだり坂となり道の両側は広々とした草原が続く。道の両側の草地にはチングルマやウメバチソウ、エゾコザクラ、コケモモなどの花が咲きやがて右手に大きな雪田が現れる。雪田の周囲にはチングルマの群落があり、空の青、雪の白、草の緑それにチングルマの黄色と彩りも鮮やかな景色が広がる。雪田を過ぎると今度はエゾコザクラの群落が現れる。エゾコザクラの赤紫の花が草地いっぱいに華やかさを競うかのごとく咲いている。
雄大な景色と美しい花々に感激しながら坂道を下ると前方に赤石川が現れる。道は赤石川を渡り北海岳へと続くが残念ながら今回はここで引き返すことにした。
帰り道は行きとまったく同じ道を引き返すが行きには見落としていた花も多く帰り道も高山植物を見ながらの楽しい山歩きが続く。

黒岳の登山道と山上で見られる高山植物はここをクリックしてください

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