トムラウシ山上の庭園めぐり


2004/07/29
大雪山系の南に位置するトムラウシ山はアプローチが長く長時間の歩行が必要だが、山上には小川が流れ、大小の岩と一面の高山植物、それに残雪が加わりまさに雲上の庭園を見るようなすばらしい景観に接することができる。
早朝4時半に東大雪荘を出発し登山口の駐車場へ到着したときにはすでに多くの人は出発した後でやや遅れての登山開始となった。駐車場を出発するとしばらくは平坦な林道が続く。道はぬかるみや水溜りが多く少し歩きにくいが朝のひんやりとした空気のうちにできるだけ距離を稼ぐため先を急ぐ。

道は次第に上り坂になりいつしか全身汗びっしょりになりながら樹林帯の荒れた登り坂をひたすらすすむ。

 

樹林帯の急坂を登りきると道は平坦になり旧道との分岐に出る。旧道は今は閉鎖され新しく作られた道を行く。新しい道は起伏がほとんど無く展望もすばらしいが熊笹を刈り取ってそれほど時間がたっていないせいか足をとられて歩きにくい。
 
1時間ほど歩くと突然開けた斜面が現れる。この斜面は全体が草で覆われ高山植物も見られる。ここを過ぎると樹林帯となりやがて道は下り坂になる。
 
道は次第にぬかるみになりやがて急傾斜の下りになる。泥道の急傾斜にはロープがあるが、ほかに足掛も手掛も無く靴は泥まみれ、ロープを握った手も泥だらけになりやっとの思いで下りきるとそこが旧道との合流地点だ。新道は平坦で展望もよく快適な道だが最後の急な下りでその快適さも消えてしまう。帰りに疲れ果てた体で今度はこの急坂を登り返さなければならないことを思うとちょっと不安になる。

再び道は樹林帯の中の緩やかな傾斜の道になる。途中小さな流れを渡るので泥だらけの靴を洗うこともできるがそろそろ疲れもでてもう洗う気力もない。道は樹林帯を抜け残雪の残る沢沿いの急なのぼり道になり、斜面にはサクラソウやキンバイなどの高山植物も多く見られるようになる。

 

 
道は再び樹林帯に入るがすぐ終わり今度は大きな岩が累積した広い斜面になる。岩の上に出ると涼しい風も吹きやっと山へ来たという感じがしてくる。岩石帯を渡りきると前トム平ももう近い。緩やかな登山道にはコマクサやチシマツガザクラなど風衝帯や岩場で見られる背丈の低い高山植物が多く見られるようになる。

斜面を登りきると前トム平に到着する。広々とした平坦地が広がり快適な場所で、時間があればここで横になってしばらく休んでいたいような場所だ。ここからは展望も非常によくなり正面にはツリガネ山の稜線が続き、反対側にははるか大雪の山並みが望まれる。

 
 
ここから少しあがると再び平坦な道になる。この道が続けばと思うが残念ながらすぐ下りになり今度は急な岩場を登り返す。やっと岩場を登りきるとトムラウシ山が正面に現れる。斜面一面に残雪を残し均整の取れた美しい山容をした立派な山だ。
 
先に進むとなんとこの先は大きな下りになる。ここまですでに4時間以上歩いてきてだいぶ疲れもたまっており、まだトムラウシはだいぶ先だというのにこの下りにはなかされる。しかしこの下り道を下りきるとそこにはすばらしい景色が現れる。今いるところが山の上だということを忘れそうな景色で、一面緑に覆われた広々とした草原には小川が流れ、色とりどりの高山植物が咲き、足元だけを見るとまるで山里にでもいるようだ。
 
緑の中の平坦な道を進むとしだいに登り坂になる。坂を上るにつれ視界が広がり広大なトムラウシ山麓には一面の緑の中に奇岩と残雪が美しい光景を作り出している。
 
坂道をさらに上がると突然目の前にすばらしい花畑が現れる。一面を赤紫色に染めるエゾコザクラの群落、岩にへばりつくように咲くチングルマやキバナシャクナゲ、ツガザクラの群落。周りの岩や残雪と重なってすばらしい光景だ。
 
ここがトムラウシ公園と呼ばれているところだ。公園というよりは庭園というほうがよいような調和の取れた美しい景観を作り出している。
 
トムラウシ公園から緩やかな坂道はなおも続き重くなった足を引きずりながらさらに進むと岩場の大きなのぼりに到着する。ここがトムラウシ山のとっつきになりここから20分ほどで山頂に行くことができる。
 
一休みして元気を取り戻してから急な岩の多い道を一歩一歩すすむる。最後の急斜面をあがるとやっとトムラウシ山頂に到着だ。朝4時半に出発しておよそ6時間で山頂に到着した。長い道であったが途中の景色は雄大で美しく変化があり、時間と体力があるならさらに先へ行きたくなるような魅力あふれる山だ。

トムラウシ山で見られる花はここをクリックしてください

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