アシタカツツジ咲く越前岳

越前岳に咲く花 越前岳の地図

 越前岳は愛鷹山と総称される山のもっとも富士山側に位置する標高1504mの山で、アシタカツツジの自生地として有名なところだ。すでにツツジの盛りは過ぎてしまったが、富士山の展望をはじめ一面森林に覆われた緑豊かな景色が楽しめ、さらに名残のツツジをはじめ多くの花木や豊富な山野草を楽しむこともできる山だ。

 越前岳への登山道はたくさんあるがもっとも交通の便がよく短時間で登れる十里木(じゅうりぎ)コースを取る。国道496号線十里木を目指して走ると別荘分譲地を過ぎ富士山子供の国の手前の国道左側に広い駐車場が有る。ここからしばらくはよく整備された展望のよい階段が続く。

 


 階段はかなり急ですぐに汗がにじんでくる。越前岳は富士山にもっとも近い山だけに後ろは収支富士山がマジかにそびえ階段を上がるにつれ視界はますます広くなりやがて南アルプスの山々が見えてくる。


 階段が終わると小さな展望台にでる。ここではずんだ息を休め展望を楽しむとよい。正面には富士がそびえその優雅なすそをたどっていくと残雪をいただいた南アルプスの山へと続く。

 


ここから先は道は緩やかになり道の両側にはウツギやノイバラ、カマツカなど花木が非常に多くなる。また足元にはホウチャクソウやニガナ、ウマノアシガタなどの野草も多く見られる。

道はやがて樹林地帯へと入り緩やかなのぼり道となる。

この樹林帯にもフタリシズカなどの花が多く見られる。なぜかここで見るフタリシズカの花穂は2本ではなく4〜5本もある。

すぐに樹林帯は終わり再び小潅木とクマザサの平坦な道になり、やがて正面にに大きな山が現れる。この山は越前岳ではなくその手前の斜面で越前岳はこの先にある。
  


 しばらく進むとベンチの有る広場に出る。のんびり歩けるのはここまで、ここから先は本格的な上り道となり、滑りやすく歩きにくい道が山頂まで続く。この先山頂まではほとんど展望が無く山頂から富士山の展望はあまりよくないのでこのベンチでゆっくりと雄大な富士山の展望を楽しんでから出発するとよい。

   道は急に狭くなり傾斜も急になる。すぐに岩場になり歩きにくくなるが岩場を通過すると樹林帯の道になる。道は途中樹林帯の中で行く筋にも分かれるがどの道をとってもまた同じ道に合流する。道は木の根っこの多い滑りやすい道がしばらく続き、樹林帯の中には時々ツクバネソウやマイズルソウなどの日陰を好む植物が見られる。
 
 高度が増すにつれミツバツツジの花が多く見られるようになる。すでに盛りは過ぎ大部分の花びらは散り、地面一面がピンクの花びらで覆れている。


 周りの木々が次第にブナ林になると傾斜は次第に緩やかになり山頂もまじかだ。相変わらずミツバツツジが咲きその花も次第に多くなり途中脇にそれるとツツジの群落が現れる。この群落には花の色がひときわ赤いツツジがある。これが越前岳とその周辺の限られたところでしか見ることのできないアシタカツツジだ。ミツバツツジに比べ一回り大きな木にびっしりと花をつけた姿はなかなか豪華だ。

 盛りを過ぎた今見てもすばらしいので最盛期にはどれほどすばらしいことだろう
 アシタカツツジをじっくり見たら再び登山道にもどり山頂を目指す。山頂近くの登山道はミツバツツジの花が登山道一面に散り、まさに花道となる。

 

 長い樹林帯の道もやっと終わり前方が開けやがて山頂に到着。山頂からは富士の姿が見えるが残念ながら山頂部だけだ。しかし越前岳の周囲は美しい緑に覆われところどころにツツジの花が咲きとても美しい。
 
 山頂からは静岡方面の展望が開け、眼下には美しい弧を描く駿河湾の海岸線が広がり、その背後には南アルプスから続く山並みを望むことが出来る。
 越前岳の山頂からはこの先呼子岳、位牌岳をとおり愛鷹山まで稜線伝いに道は続くが、このコースは危険箇所もあり十分な経験と注意が必要だ。
2006/06/10
Kazuo Hirose